2月16日、東京
この日はサントリーホールでリサイタルを行いました。幕開けは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第16番《月光》です。その後、得意とするショパンの4つの即興曲。一方、後半は、この夜のメイン・プログラムでもあるシューマンの《クライスレリアーナ》が置かれ、その後はがらりと趣を変えて、スペインの作曲家アルベニスの「スペイン」から第2曲《タンゴ》、ロシアの作曲家シェチェドリンの《アルベニス風に》という、独特なリズムが印象的な2曲が並びました。演奏者の秘めたるユーモアさえ感じさせるプログラミングからして、この夜は洒落れていました。
この夜はどれも極めて集中力の高い演奏が続き、弾き終えると中村は満場の拍手を浴び、鳴りやまない万雷の拍手の中でアンコールに応えました。ところが、1曲弾くごとに会場の興奮は盛り上がるばかり。結局、グラナドスのアンダルーサ、マクダウェルの魔女の踊り、 ショパンの夜想曲第20番《遺作》、 チャイコフスキーの《四季》から《11月・トロイカ》、 ブラームスのハンガリー舞曲第1番 、ショパンのスケルツォ第2番まで、アンコールはなんと6曲を数えました。途中、高村外務大臣、町村官房長官といった方々が花束をステージに届けてくれたりと、とにかく熱い一夜でした(T)。